【作品の原点】ブラック★ロックシューターはhukeの一枚のイラストから始まった
『ブラック★ロックシューター』の歴史を理解するには、アニメ化以前のインターネット文化に目を向ける必要があります。
原点となったのは、イラストレーターのhukeが2007年12月26日に自身のブログとPixivで発表したオリジナルイラストです。黒い衣装、巨大な銃、瞳から立ち上る青い炎。この独特なビジュアルが、後に多くのファンを獲得するキャラクターの出発点になりました。
翌2008年6月13日には、音楽クリエイターryoが率いるsupercellが、初音ミクをボーカルに起用した楽曲「ブラック★ロックシューター」をニコニコ動画で公開。映像にはhuke自身も参加しています。イラストとボーカロイド楽曲が結び付いたことで、作品はアニメ化以前から大きな支持を集めました。
この流れを受け、2009年には「BLACK★ROCK SHOOTER -PILOT Edition-」が登場。2010年には本編OVAが制作され、2012年のテレビシリーズへとつながります。つまり、最初からテレビアニメとして企画された作品ではなく、インターネット発の創作文化が映像作品へと広がった珍しい事例です。
アニプレックスの作品紹介によると、2010年のOVAは全編無料配信に加え、店頭やイベント、雑誌付録などでも展開され、配布総数は60万枚に達しました。作品の人気を支えたのは、テレビ放送だけに依存しないファン参加型のプロモーションだったのです。
なお、2009年のPILOT Editionと2010年のOVA本編は別の映像企画です。視聴順を考える際には、この2つを混同しないようにしましょう。
【主な歴史】
- 2007年12月:hukeがオリジナルイラストを発表
- 2008年6月:ryoと初音ミクによる楽曲を公開
- 2009年9月:PILOT Editionを展開
- 2010年:OVA本編を発表
- 2012年2月:TVシリーズ放送開始
- 2021年8月:『DAWN FALL』の新アニメプロジェクトを発表
- 2022年4月:『DAWN FALL』放送開始
【3作品を徹底比較】OVA・2012年TV版・DAWN FALLは何が違う?

3作品の違いを理解する最大のポイントは、同じブラックロックシューターというキャラクターを扱っていても、物語の中心となるテーマが異なることです。
2010年のOVAと2012年のTVシリーズは、黒衣マトと小鳥遊ヨミの関係を軸にした少女たちの心理ドラマです。一方、2022年の『DAWN FALL』は、エンプレスを主人公に据えた終末世界のSFアクションとして再構成されています。
作品ごとの基本情報を一覧にまとめました。
2010年のOVAは、作品の世界観を映像として提示した原点です。2012年のテレビシリーズは、そのOVAの設定をベースにしながら、マトとヨミの友情や心の結び付きを、全8話の構成で掘り下げています。
これに対して『DAWN FALL』は、従来の学園生活を中心とした物語から大きく方向転換しています。舞台は文明が崩壊した未来の地球。人工知能と人類の対立、無人兵器、軌道エレベーターを巡る戦いなど、SF要素が物語の中心です。
特に重要なのは、『DAWN FALL』を2012年版の直接的な続編として考えないことです。キャラクター名やデザインの共通性はありますが、物語の舞台と人物の設定は異なります。
【あらすじとキャラクター】黒衣マト・小鳥遊ヨミからエンプレスへ
2010年OVA:マトとヨミの関係から生まれる二つの世界
OVAでは、中学校に入学した黒衣マトと、小鳥遊ヨミの出会いが物語の中心になります。
明るく素直なマトは、落ち着いた雰囲気を持つヨミに興味を持ち、少しずつ距離を縮めていきます。二人は友情を育んでいきますが、学年が進むにつれて関係に変化が生じます。
その一方、別の世界では、青い炎を瞳に宿したブラック★ロックシューターと、巨大な鎌を操るデッドマスターが激しい戦いを繰り広げます。
現実世界の少女たちの感情と、虚の世界の戦闘が並行して描かれる構成が、この作品の大きな特徴です。単純な勧善懲悪ではなく、心の中にある孤独や嫉妬、葛藤を、もう一つの世界の戦いとして表現しています。
2012年TV版:友情と心の痛みを描く全8話
2012年版では、マトが中学校に入学し、小鳥遊ヨミと出会うところから物語が始まります。
マトはヨミの珍しい名字に興味を持ち、積極的に話しかけます。当初は距離があった二人ですが、同じ絵本を持っていたことをきっかけに親しくなっていきます。
ところが、ヨミには親友の出灰カガリがいました。マトがヨミに近づくことで、少女たちの関係は複雑になっていきます。
現実世界で生まれる感情の揺れと、虚の世界で戦う少女たちの姿が連動する構成はOVAから引き継がれています。ただし、TVシリーズでは人物や人間関係が増え、感情の衝突がより多面的に描かれています。
主な登場人物と声優は次のとおりです。
- 黒衣マト/ブラック★ロックシューター:花澤香菜
- 物語の中心人物。明るい性格の中に複雑な感情を抱えています。
- 小鳥遊ヨミ/デッドマスター:沢城みゆき
- マトと友情を育む少女。物語の重要な葛藤を担います。
- 神足ユウ:阿澄佳奈
- マトたちの関係に深く関わる人物。
- 納野サヤ:能登麻美子
- マトたちを取り巻く大人側の人物。
- 出灰カガリ:喜多村英梨
- ヨミの幼なじみ。二人の友情に影響を与えます。
- 小幡アラタ:沼倉愛美
- TVシリーズの登場人物。
制作面では、監督を吉岡忍、シリーズ構成・脚本を岡田麿里が担当。CG特技監督には今石洋之が参加し、Ordetとサンジゲンがアニメーション制作を担いました。
全8話という比較的コンパクトな構成ながら、心理描写とアクションを並行させる独特の演出が作品の個性になっています。
2022年『DAWN FALL』:エンプレスが戦う2062年の地球
『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』は、シリーズの中でも特に世界観が大きく変化した作品です。
物語の舞台は西暦2062年。労働力の自動化プロジェクトが失敗し、その中核を担っていた人工知能アルテミスが人類と敵対した結果、地球は荒廃しています。
ある基地の地下研究施設で目を覚ました少女が、エンプレスです。彼女は人類を守る3人の守護者の生き残りですが、過去の記憶を失っています。
平和構築軍の大佐から与えられた使命は、アルテミスが建設を進める月と地球を結ぶ軌道エレベーターを破壊すること。完成すれば、月で生産されている巨大機械軍が地球に押し寄せる危険があります。
エンプレスの前には、かつて仲間だったデッドマスターやストレングス、アルテミス側の無人軍隊、教育機関のスマイリーなどが立ちはだかります。
本作の主なキャラクターと声優は以下のとおりです。
- エンプレス(ブラックロックシューター):石川由依
- 人類を守る使命を持つ主人公。
- デッドマスター:早見沙織
- エンプレスの前に立ちはだかる重要人物。
- ストレングス:潘めぐみ
- エンプレスたちの運命に関わる存在。
- 大佐:桐本拓哉
- エンプレスに任務を伝える平和構築軍の人物。
- モニカ:朝井彩加
- エンプレスたちの旅に関わる人物。
- ブラックトライク:久野美咲
- エンプレスと行動を共にする存在。
- スマイリー:杉田智和
- 教育機関に関わる人物。
監督は天衝、シリーズ構成・脚本は深見真、シリーズ構成協力・脚本は吉上亮。アニメーション制作はバイブリーアニメーションスタジオとバイブリーアニメーションCGです。
ここで押さえておきたいのは、2012年版の小鳥遊ヨミと、DAWN FALLのデッドマスターを同一人物として扱わないことです。キャラクターの名称が共通していても、それぞれの作品における人物関係や背景は別の設定で描かれています。
【主題歌の魅力】ryoと初音ミクが生んだ名曲はアニメとどう結び付く?
ブラック★ロックシューターを語るうえで欠かせないのが、supercellのryoと初音ミクによる楽曲です。
2008年に公開された「ブラック★ロックシューター」は、hukeのイラストから着想を得て制作された楽曲です。アニメの主題歌として誕生したのではなく、キャラクターの人気を押し広げた原点の一つでした。
その後、2012年のTVシリーズでも同名曲がオープニングテーマとして採用され、supercellによる「僕らのあしあと」がエンディングテーマを担当しました。
つまり、ryoと初音ミクの楽曲は、作品の誕生とアニメ展開をつなぐ重要な存在です。
一方、2022年の『DAWN FALL』では音楽面も一新されています。
- オープニングテーマ:「ASEED」/ZAQ
- エンディングテーマ:「Before the Nightmare」/高槻かなこ
ZAQがオープニングを、高槻かなこがエンディングを担当しました。従来のボーカロイド文化を象徴する音楽から、終末世界を描く新作に合わせた楽曲構成へと変化しています。
この違いは、作品の方向性を理解するうえでも重要です。初音ミクの楽曲を入口に作品を知った人には、2012年版が特に馴染みやすく、『DAWN FALL』では別の音楽的アプローチを楽しめます。
【見る順番を解説】初めてならOVAから?DAWN FALLから?
初めてブラック★ロックシューターを見る人におすすめなのは、基本的には公開順です。ただし、3作品すべてを同じ物語の時系列として見る必要はありません。
おすすめは公開順の3ステップ
第1作:2010年OVA
作品の原点を知る
ブラック★ロックシューターの世界観と、マト・ヨミ・デッドマスターの関係をコンパクトに把握できます。
第2作:2012年TVアニメ
人物の心理と物語を深く楽しむ
全8話を通じて、少女たちの友情や葛藤、虚の世界での戦いを掘り下げられます。
第3作:2022年DAWN FALL
新しい世界観を楽しむ
2062年の荒廃した地球を舞台にした全12話のSFアクション。前2作品の物語を知らなくても楽しめます。
視聴目的によって順番を変えてもよい
| 視聴したい内容 | おすすめ |
|---|---|
| 作品の誕生から知りたい | OVA→TV版→DAWN FALL |
| マトとヨミの関係を楽しみたい | OVA→TV版 |
| 短時間で世界観を知りたい | OVA |
| 心理描写や人間関係を楽しみたい | 2012年TV版 |
| SF・戦闘・終末世界が好き | DAWN FALL |
| 新しい作品から入りたい | DAWN FALLからでもOK |
OVAを先に見る最大のメリットは、2012年版で描かれる人物関係や世界観の変化を比較できることです。特に、ブラック★ロックシューターとデッドマスターの戦闘が、現実世界の少女たちの感情とどう結び付いているかを理解しやすくなります。
ただし、時間が限られているなら2012年版から始めても問題ありません。OVAの設定をベースにしつつ、独自に物語を広げたTVシリーズなので、作品の主要な魅力を十分に味わえます。
『DAWN FALL』は独立した世界観を持つ新プロジェクトです。2010年・2012年版を見ていないことが、視聴の妨げになるわけではありません。
【2026年最新情報】新作アニメ・ゲーム・フィギュアの動向
2026年11月1日時点で、ブラック★ロックシューター関連の動きを確認すると、アニメの新作発表と既存作品の商品展開は分けて考える必要があります。
新作アニメの続編発表は?
ブラック★ロックシューターの公式ポータルで確認できるNEWS一覧では、掲載されている最新の告知は2023年5月24日のゲーム関連情報です。また、『DAWN FALL』公式サイトのニュース欄では、2022年10月7日のレンタル配信情報が最新の掲載告知となっています。
これらの公式告知欄には、2026年の新作TVアニメやOVAの制作・放送発表は掲載されていません。そのため、現段階で新シリーズの放送が決定したとする情報はありません。
新作を期待するファンにとっては、公式発表の有無を見極めることが大切です。
2026年1月にはエンプレスの新作フィギュアが登場
エンプレス[ブラックロックシューター]huke Ver.
グッドスマイルカンパニー
- 作品:DAWN FALL
- スケール:1/7
- 全高:約420mm
- 参考価格:27,800円(税込)
2026年には、グッドスマイルカンパニーから『DAWN FALL』のエンプレスを立体化した「エンプレス[ブラックロックシューター]huke Ver.」が発売されました。
hukeの描き下ろしイラストをもとに、河原隆幸が原型制作と彩色を担当。銀河を思わせる髪や青い炎、羽など、キャラクターの特徴を大きなスケールで再現しています。
公式ショップでは2025年に予約を受け付け、2026年1月の発売商品として案内されています。映像作品の新作発表とは別ですが、2026年にもブランドのキャラクター展開が続いていることを示す具体的な動きです。
スマートフォンゲーム『FRAGMENT』はサービス終了
アニメ以外の展開としては、スマートフォンゲーム『ブラック★ロックシューター FRAGMENT』もあります。
同作は2022年11月24日に配信が開始されたゲームで、アニメ版とは異なる「もう一つの世界」を舞台にしたオリジナルストーリーを展開していました。
ただし、公式発表によって2024年3月1日12時にサービス終了しています。2026年現在、通常のオンラインゲームとして新たにプレイできるサービスは終了済みです。
アニメ作品とゲーム作品では世界観や登場人物の設定が異なる場合があるため、関連作品を調べる際には、それぞれの作品名と媒体を確認することが大切です。
【よくある質問】ブラックロックシューターのアニメに関するFAQ
Q1:ブラック★ロックシューターのアニメは全部で何作品ありますか?
A1:主な映像作品として、2010年のOVA、2012年のTVアニメ、2022年の『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』があります。2009年には別途PILOT Editionも制作されています。
Q2:2010年OVAと2012年TV版は同じ内容ですか?
A2:同じではありません。2012年版はOVAの設定をベースにしながら、黒衣マトと小鳥遊ヨミの友情や人間関係を全8話で掘り下げた作品です。
Q3:ブラックロックシューターを見る順番は?
A3:公開順の2010年OVA→2012年TV版→2022年『DAWN FALL』がおすすめです。『DAWN FALL』は独立した世界観なので、単独で視聴することもできます。
Q4:黒衣マトとブラック★ロックシューターは同一人物ですか?
A4:2010年OVAと2012年TV版では、黒衣マトとブラック★ロックシューターが密接に結び付いた存在として描かれます。現実世界と虚の世界の関係を通して、マトの感情が表現されています。
Q5:デッドマスターの声優は誰ですか?
A5:2010年OVAと2012年TV版では沢城みゆき、2022年の『DAWN FALL』では早見沙織が担当しています。
Q6:DAWN FALLに黒衣マトは登場しますか?
A6:『DAWN FALL』の中心人物はエンプレスです。黒衣マトを主人公とする2012年版とは異なる世界観で、エンプレスやデッドマスター、ストレングスたちの物語が描かれます。
Q7:2026年現在、新作アニメや続編の予定はありますか?
A7:2026年11月1日時点で、公式サイトに新作アニメの制作・放送決定は掲載されていません。2026年1月にはエンプレスのフィギュアが発売されています。
Q8:ryoと初音ミクの楽曲はどの作品で使われていますか?
A8:2008年に公開されたオリジナル楽曲が作品の誕生を後押しし、2012年TV版では同名曲がオープニングテーマとして採用されました。『DAWN FALL』のオープニングはZAQの「ASEED」です。
まとめ:ブラック★ロックシューターは作品ごとの世界観を知ると面白さが深まる
アニメ『ブラック★ロックシューター』は、2007年にhukeが発表した一枚のイラストを出発点に、音楽、OVA、テレビアニメ、SFアクションへと広がってきた作品です。
2010年のOVAは、マトとヨミの関係、そして虚の世界の戦闘を描いた原点。2012年のTVシリーズは、少女たちの友情や心の痛みを掘り下げた全8話の物語です。そして2022年の『DAWN FALL』では、エンプレスを主人公に、2062年の荒廃した地球で人類の未来を懸けた戦いが展開されました。
3作品を比較すると、共通しているのはキャラクターのビジュアルや名前だけではありません。心の痛み、孤独、対立、そして自分自身の意思で運命に立ち向かう少女たちという、シリーズを貫くテーマがあります。
【プロの結論】 初めて見るなら、2010年OVAから2012年TV版、2022年『DAWN FALL』という公開順が最もおすすめです。ただし、作品を一つの連続したストーリーとして理解するのではなく、それぞれがhukeの生み出した世界観を異なる角度から表現した作品として見ることが、正しい楽しみ方です。
2026年現在もフィギュアなどの関連商品が展開されており、作品のビジュアルとキャラクターは新たな形で受け継がれています。アニメを視聴する際には、マトの物語とエンプレスの物語を区別しながら、それぞれの世界に込められた魅力を味わってください。