【2026年最新】戦闘機の値段はいくら?F-35A・F-35Bの取得額を徹底比較
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 2026年度のF-35A:8機で1,493億円。単純計算で1機あたり約186.6億円。
- 2026年度のF-35B:3機で725億円。単純計算で1機あたり約241.7億円。
- 価格を見る際の注意点:予算を機数で割った金額は機体本体の販売価格ではなく、調達事業の平均額である。
2026年度の防衛省予算資料で確認できる主な戦闘機関連の取得額は、次のとおりだ。
- F-35A:8機・1,493億円
- F-35B:3機・725億円
- F-2能力向上:9機・97億円
F-35AとF-35Bについて、それぞれの予算額を取得機数で割ると、次の計算になる。
F-35A・1機あたりの予算平均額186.6億円

1,493億円 ÷ 8機
F-35B・1機あたりの予算平均額241.7億円
725億円 ÷ 3機
両機種の平均額の差55.1億円
F-35Bのほうが約29.5%高い計算
出典は防衛省「令和8年度予算案の概要」。金額と機数から算出した参考値であり、メーカーが公表する機体単体の販売価格とは異なる。
注目したいのは、F-35Bの平均額がF-35Aより約55億円高いことだ。F-35Bは短距離離陸・垂直着陸(STOVL)に対応する機体であり、そのための専用構造やシステムを備えている。
ただし、今回の予算額には機種ごとに異なる調達条件も反映されている。F-35Bの取得額が高い理由を、垂直離着陸機能だけに求めることはできない。
また、2026年度は2026年4月から2027年3月までの会計年度を指す。2026年10月時点では、同年度の予算執行期間中に当たる。
【機種別価格比較】F-35A・F-35B・F-2・F-15EXはいくら?
戦闘機の価格を比較するときは、取得、新規開発、既存機の改修を分ける必要がある。2026年度の日本の防衛予算と米国の調達予算を整理すると、次のようになる。
2026年度の公表予算を基準とした比較。F-15EXのみ米国の予算資料による。
注:F-2は既存機の能力向上改修費。F-15EXは米国防総省のFY2026調達予算の調達費を機数で割った参考値であり、日本のF-15Jの価格ではない。
F-35AとF-35Bはなぜ価格が違う?
通常の滑走路から離着陸するタイプ。航空自衛隊の航空戦力の中核を担う機体である。
短距離離陸・垂直着陸に対応するタイプ。運用できる場所の柔軟性が高い一方、専用の機構を備える。
F-35Bの大きな特徴は、通常の戦闘機とは異なる離着陸方式にある。航空自衛隊では、2025年8月に新田原基地へのF-35B配備が進められた。F-35Aについても、2025年4月に小松基地への配備が行われている。
F-35Bは、滑走路の制約を受けにくい航空運用を実現するための専用機構を持つ。その分、機体設計や製造に関わるコストも異なる。
もっとも、186.6億円と241.7億円の差を、そのまま垂直離着陸機能の追加料金と解釈するのは誤りだ。取得する機数、契約ロット、関連装備などが異なるため、同じ条件での機体価格比較にはなっていない。
F-2の能力向上費用は新造戦闘機より安い?
2026年度予算では、F-2の能力向上事業に97億円が計上され、対象は9機となっている。単純計算では1機あたり約10.8億円だ。
この事業は新しい戦闘機を製造するものではなく、現役のF-2に能力向上のための改修を施すもの。機体を新規取得する場合とは費用の性格が違う。
防衛省はF-2について、スタンド・オフ防衛能力の強化を目的に、12式地対艦誘導弾能力向上型の搭載能力などを付与する事業を推進している。
【本体価格と調達費の違い】戦闘機の値段を正しく読む方法
戦闘機の値段を調べると、同じF-35でも100億円台、200億円台、さらにそれ以上の金額が紹介されることがある。これは必ずしも数字の間違いではない。比較している費用の範囲が異なるからだ。
1. 機体本体価格
機体本体価格は、航空機そのものを製造するための費用を中心とした金額だ。機体構造、エンジン、基本的な搭載システムなどが関係する。
ただし、メーカーが示す価格でも、エンジンや搭載装備をどこまで含むかによって数字は変わる。
2. 調達費
防衛省が計上する調達費は、契約の対象や費用の計上方法によって、機体以外の関連経費を含むことがある。
例えば、戦闘機を新たに導入する際には、機体だけでなく、整備用設備、予備部品、訓練関連設備、搭載システムなども必要になる。
米国の防衛安全保障協力庁(DSCA)が2020年7月9日に公表した日本向けF-35の売却可能性に関する通知は、この違いを理解するうえで参考になる。
同通知では、日本が希望したF-35Aを63機、F-35Bを42機の計105機と関連装備について、推定総額を231億1,000万ドルとしていた。さらに、予備分を含むF135エンジン110基、電子戦システム、指揮通信関連機器、訓練装置、兵站支援システムなども対象に含まれていた。
この231億1,000万ドルを105機で割れば、1機あたり約2億2,010万ドルになる。しかし、これは関連装備などを含む売却パッケージの平均額であり、F-35の機体単価ではない。また、あくまで売却可能性に関する推定額で、最終的な契約実績と同一ではない。
3. 初度費と維持整備費
初度費とは、装備品を新たに導入する際に発生する初期的な費用を指す。生産設備、導入に必要な技術的準備、関連する整備基盤などが関係する。
維持整備費は、取得後に機体を使い続けるための費用だ。部品交換、定期点検、エンジン整備、ソフトウェア更新、整備員の教育などが含まれる。
つまり、戦闘機の価格には少なくとも「機体を購入する費用」「運用を開始するための費用」「長期間使い続けるための費用」という異なる段階がある。
【維持費・運用コスト】戦闘機は購入した後も高額な費用がかかる
戦闘機の調達を考える際、購入価格と同じくらい重要なのが維持費だ。高性能な戦闘機ほど、機体の状態を維持するための整備体制や部品供給網が重要になる。
米国会計検査院が示したF-35の維持費
2026年6月11日、米国の会計検査院(GAO)はF-35の維持整備に関する報告書を公表した。
同報告書によると、F-35統合計画室(JPO)が2025年に示した定常運用時の年間維持費見積もりは、F-35A、F-35Bともに1機あたり約740万ドルだった。これは2012年価格基準での米軍向け推計であり、日本の航空自衛隊の実際の年間維持費ではない。
また、JPOの2025年の推計では、F-35計画全体の生涯維持費が前年の推計から188億ドル増加した。米軍の運用期間延長や年間飛行時間の増加などが主な要因として説明されている。
この数字が示しているのは、戦闘機の経済性を購入時の金額だけで判断できないということだ。
維持費を構成する主な項目
{#each [{n:"定期整備・修理",d:"機体、エンジン、各種システムの点検や部品交換。"},{n:"予備部品",d:"故障や交換に備えた部品の調達・保管。"},{n:"ソフトウェア更新",d:"飛行・任務システムの更新や機能改善。"},{n:"訓練・教育",d:"操縦士、整備員、関連要員の教育や訓練設備。"},{n:"基地・支援設備",d:"格納庫、整備施設、専用設備などの維持管理。"}] as item,i}
{item.n}
{item.d}
{#if i!==4}
{/each}
これらの経費は、実際の稼働率や飛行時間、運用環境、部品の調達条件によって変動する。したがって、機体の購入費が安いからといって、長期的な運用費まで安いとは限らない。
【戦闘機の価格上昇の理由】2026年に調達費が高くなる背景
戦闘機の価格は、単純に製造技術が高度になったから上昇するわけではない。為替、原材料、製造数量、国際分業、装備の高度化など、複数の要因が重なっている。
円安と物価高による調達負担
日本が海外製の戦闘機や関連装備を購入する場合、米ドルなどの外貨建て取引が関係する。円安が進めば、同じドル建ての契約金額でも円換算の負担は大きくなる。
防衛省の2026年度予算資料でも、物価高・円安への対応が明記されている。装備品の取得については、経費の精査やまとめ買い、長期契約による効率化を進める方針だ。
ステルス・電子戦・センサーの高度化
第5世代戦闘機は、従来型の戦闘機と比べて高度なセンサーや電子戦システム、情報共有機能などを備えている。
F-35の場合、機体そのものに加え、複数のセンサーから得た情報を統合する能力や、他の装備とのネットワーク連携も重要な特徴となる。
こうした高度な装備を開発・製造し、運用後も更新し続けることが、取得費と維持費の双方に影響する。
調達数量と契約時期による違い
戦闘機は、一度に購入する機数や契約する時期によっても平均費用が変わる。
例えば、2025年度の予算資料では、F-35Aは8機で1,387億円、F-35Bは3機で665億円だった。単純計算では、それぞれ約173.4億円、約221.7億円となる。
2026年度の平均額と比べると、F-35Aは約7.6%、F-35Bは約9.0%高くなっている。ただし、これは年度ごとの予算額を機数で割った比較であり、機体そのものの販売価格が同じ割合で値上がりしたことを意味しない。契約ロットや費用の内訳が違うためだ。
FMS調達の仕組みも価格に影響する
FMSとは、米国政府が同盟国などに対して防衛装備品を有償で提供する制度だ。日本のF-35調達でも重要な役割を担っている。
防衛省の2026年版防衛白書は、FMSについて次の特徴を説明している。
- 価格は見積もりである。
- 原則として前払いで、履行後に精算される。
- 納期は確定日ではなく予定として示される。
さらに、納入や精算の遅延も課題となっている。2026年1月には、防衛装備庁と米国防安全保障協力庁による第10回安全保障協力協議会合が開催され、未納入・未精算額の縮減や価格情報の透明性向上について協議された。
FMSの調達単価を見る際には、単純な機体価格だけでなく、見積額と最終精算額の違い、契約対象、納入時期を確認する必要がある。
【F-15EX・歴代戦闘機・次期戦闘機】価格比較で知っておきたいこと
F-35だけでなく、F-15EX、F-2、そして次期戦闘機GCAPも、日本の航空戦力を考えるうえで欠かせない存在だ。ただし、それぞれ役割も調達方法も異なる。
F-15EXの調達価格は約1億4,372万ドル
米国防総省の2026年度兵器調達予算資料によると、F-15EXは21機分の調達費として30億1,820万ドルが計上されている。
これを21機で割ると、1機あたり約1億4,372万ドルとなる。研究開発費を含む予算上の合計額は約30億9,860万ドルで、こちらを機数で割ると約1億4,755万ドルだ。
この金額も、単純な機体の工場出荷価格ではない。また、F-15EXは日本のF-15Jとは別の機体である。米国のF-15EXの調達価格を、そのまま日本のF-15Jの購入価格や改修費として扱うことはできない。
F-15Jの能力向上にも巨額の予算が必要
日本では、既存のF-15Jを改修して運用を続ける取り組みが進められている。
防衛専門メディアのJanesは、日本が68機のF-15Jを対象とするJapan Super Interceptor(JSI)計画について、改修を含む30年間のライフサイクルコストを6,465億円とする防衛省の推計を報じている。
単純に68機で割ると約95億円となるが、これは改修だけの価格ではなく、30年間のライフサイクルコストを機数で割った参考値だ。
この事例からも、既存機の能力向上は、新型戦闘機を購入するより安いという単純な話ではないことが分かる。
次期戦闘機GCAPの開発費は1,602億円
日本、英国、イタリアの3か国が共同開発する次期戦闘機が、
2026年度予算では、次期戦闘機の開発に1,602億円が計上されている。この金額は契約ベースであり、完成機の取得価格ではない。
開発体制では、日英伊が設立した政府間機関GIGO(GCAP International Government Organisation)を通じて、機体やエンジンの設計作業などを一元化する計画が進められている。
防衛省の予算資料では、次期戦闘機の開発完了時期を2035年度としている。ただし、これは計画上のスケジュールであり、今後の開発状況によって変わる可能性がある。
GCAPは、戦闘機単体だけでなく、連携する無人機などを含めたシステムの構想も並行して進めている。今後の開発費や完成機の価格を考える際には、こうした関連システムの範囲も見る必要がある。
【プロの結論】戦闘機の値段は「1機あたり」だけでは判断できない
戦闘機の値段を比較するうえで、最も重要なのは、数字が何を表しているかを見極めることだ。
今回の2026年度予算では、F-35Aが約186.6億円、F-35Bが約241.7億円という参考値が得られた。しかし、これらは予算総額を機数で割った数字であり、機体単体の値段を示すものではない。
実際に戦闘機の調達額を評価するときは、次の3つの視点が欠かせない。
取得費の範囲を確認する
機体本体、エンジン、関連装備、訓練設備、初度費など、何が予算に含まれているかを見る。
維持費を含めて考える
導入後の整備、部品、ソフトウェア更新、教育、基地設備など、長期的な運用費を考慮する。
調達方式と契約条件を確認する
国内調達かFMSか、契約ベースか歳出ベースか、見積額か確定額かを区別する。
また、購入価格だけでなく、機体の能力、稼働率、整備性、将来の改修余地も比較対象になる。
例えば、F-35AとF-35Bは同じF-35シリーズでも運用上の目的が異なる。F-15Jの改修とF-35の新規取得も、単純な価格比較では適切な評価にならない。
防衛予算を読むときは、単価の安さだけでなく、何機をどのような条件で取得し、どのくらいの期間にわたって運用できるのかを合わせて見ることが重要だ。
【戦闘機の値段】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本のF-35Aは1機いくらですか?
A1:2026年度予算では8機で1,493億円。単純計算では1機あたり約186.6億円だ。ただし、これは予算上の平均取得額であり、機体本体だけの価格ではない。
Q2:F-35AとF-35Bではどちらが高いですか?
A2:2026年度予算を機数で割った場合、F-35Bのほうが高い。F-35Aが約186.6億円、F-35Bが約241.7億円となる。F-35Bは短距離離陸・垂直着陸機能を持つが、予算上の差には契約条件なども影響する。
Q3:戦闘機は購入した後にも維持費がかかりますか?
A3:かかる。定期整備、部品交換、エンジン整備、ソフトウェア更新、操縦士や整備員の訓練などが必要になる。F-35については、米国のGAOが長期的な維持費の増加を報告している。
Q4:F-15EXと日本のF-15Jは同じ戦闘機ですか?
A4:同じF-15シリーズだが、同一仕様ではない。F-15EXは米国の近代化型であり、日本のF-15Jは日本独自の装備や改修計画を持つ。価格も区別して考える必要がある。
Q5:次期戦闘機GCAPの1機あたりの価格はいくらですか?
A5:2026年10月時点で、完成機の確定した1機あたりの取得価格は、2026年度の開発予算資料からは算出できない。同年度の開発予算は1,602億円で、これは機体の購入費ではない。
まとめ:2026年の戦闘機価格は取得費と維持費の両面から判断する
2026年度の防衛予算から算出したF-35Aの1機あたりの参考額は約186.6億円、F-35Bは約241.7億円となった。両機種には約55.1億円の差がある。
一方、戦闘機の値段は機体本体だけでは決まらない。関連装備、初度費、訓練設備、FMSの契約条件、整備体制、長期的な維持費などが総調達コストを左右する。
日本ではF-35A・F-35Bの取得に加え、F-2やF-15Jの能力向上、日英伊によるGCAPの開発も進んでいる。2026年以降の航空戦力を考えるうえでは、これらを別々の価格競争として捉えるのではなく、導入から運用、将来の更新までを含めた費用として見る必要がある。
戦闘機の本当の値段を知るためには、「1機いくらか」だけでなく、「何が含まれ、何年間使うための費用なのか」を確認することが最も確かな判断基準となる。
主な参考資料
- 防衛省「令和8年度予算案の概要」
- 防衛省「令和8年版防衛白書」
- 防衛装備庁「防衛装備・技術協力について」
- 米国会計検査院(GAO)「F-35 Sustainment」(2026年6月)
- 米国防総省「FY2026 Program Acquisition Costs by Weapon System」
- 米国防安全保障協力庁(DSCA)「Japan – F-35 Joint Strike Fighter Aircraft」(2020年7月)
- Janes「Japan to upgrade 68 F-15J Eagles under JSI programme」